甲状腺はどこにあるの?
のどぼとけの下に、ちょうど蝶が羽を広げて気管を抱くような形でくっついています。大きさは、ほぼ親指2つを並べたくらいです。正常の甲状腺は柔らかいので、外から触ってもわかりにくいです。
甲状腺の働きは?
主に、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは体の発育に欠かすことができません。また全身の新陳代謝を活発にする働きがあります。
甲状腺ホルモンに異常があるとこんな症状が出てきます
甲状腺ホルモンの増加 (甲状腺機能亢進症)
バセドウ病(グレーブス病)、プランマー病
- 汗が多い
- 暑さに弱い
- 手が震える
- 疲れやすい
- 動悸がする
- よく食べるのにやせる
甲状腺ホルモンの減少 (甲状腺機能低下症)
慢性甲状腺炎(橋本病)
- 寒がり
- 髪の毛がぬける
- 顔や手がむくむ
- 便秘・生理が多い
- 皮膚がカサカサする
- あまり食べないのに太る
甲状腺の血液検査
甲状腺の機能を見るには、次の二つのホルモンを検査します。
- 遊離サイロキシン(FT4)
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
甲状腺ホルモンが増加したり、低下したりする原因はいろいろあります。
このため、2つのホルモンを同時に測定して、総合的に判断します。
・甲状腺機能亢進症では、FT4高値、TSH低値となります。
・甲状腺機能低下症では、FT4低値、TSH高値となります。
甲状腺の大きさや甲状腺ホルモンの値に異常があった場合、原因を調査します。
血液中にある甲状腺に対する抗体(自己抗体)を測定します。
- 抗TSHレセプター抗体(抗TRAb)
- 抗サイログロブリン抗体(抗TgAb)
- 抗甲状腺ぺルオキシダーゼ抗体(抗TPOAb)
これらの抗体により甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを必要以上に作ったり、甲状腺細胞がこわれて徐々にホルモンが作られなくなったりします。
・バセドウ病では、FT4高値、TSH低値、抗TRAb陽性となります。
・慢性甲状腺炎(橋本病)では、FT4低値、TSH高値、抗TgAb陽性、抗TPOAb陽性となります。
- 甲状腺ホルモンの過剰作用と調節機能破綻で、複数の臓器が機能不全に陥った結果、生命危機に直結する緊急な病態を甲状腺クリーゼといいます(血液中FT3※,FT4高値)。
※遊離トリヨードサイロニン(FT3) - 最近では、IgG4甲状腺炎が話題となっています。
腫瘍が疑われた場合
腫瘍が疑われた場合の検査には、血液検査(サイログロブリン値)、超音波(エコー)検査、針で甲状腺を穿刺して細胞を取って調べる検査(吸引細胞診)などがあります。
また、甲状腺がんや甲状腺機能亢進症の治療として手術療法・ラジオアイソトープ療法が行われます。
最近では、甲状腺がんの遺伝子変異を検出し、医薬品の適用を判断するコンパニオン診断(CDx)も始まっています(甲状腺がんRET CDx遺伝子解析)。