喀痰(かくたん)の検査とは
痰を採取してその中に病的な細胞や成分、あるいは細菌などが含まれてないかなどを顕微鏡で観察します。
この検査は、呼吸器の病気の診断に重要な検査の一つです。痰は呼吸器系の粘膜から分泌される粘液で、その中には、肺や気管支、咽喉・喉頭等などの気道からはがれた細胞が含まれます。
これらの細胞に異常があったり、細菌、ウイルス、血液成分などが混じっていたりすると、痰に変化があらわれます。
すなわち痰を調べれば、肺や気管支などの呼吸器の異常を知ることができるのです。
喀痰を採るときの注意点
喀痰を採る前には、口の中の雑菌や細胞が混じることを防ぐためうがいをしてください。
- 痰は渡された容器に直接出してください。
テッシュ等の紙にとると紙に痰が吸い取られて検査できません。
喀痰を用いた検査には何があるの?
喀痰を用いた検査には以下の3つがあります。
- 細菌検査
- 細胞診検査
- 遺伝子検査
細菌検査
肺炎や気管支炎の原因になっている細菌や真菌(カビ)などを見つけます。細菌検査には2つの方法と目的があります。
- 採取した痰をガラス板に塗りつけて、顕微鏡で菌を見つける検査
- 培養で菌を増やし、菌の種類を確認する検査
普通の菌の培養には2~3日、結核菌は2か月ほどかかります。
痰のなかに菌が見つかったらどうする?
喀痰の細菌検査では、感染症の原因となる菌が見つかれば、その菌に効く薬はどれかを試験して、治療薬の決定に役立てます。
細胞診検査
痰に混じった細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞や炎症、アレルギー等を疑わせる細胞がないかどうか調べる検査です。
痰を調べる代わりにブラッシングといって、気管支内視鏡を入れて粘膜を擦り取り、それを顕微鏡で調べることもあります。また気管支内を水で洗ってこれを集めて検査することもあります。
痰にまじった細胞の何をみるの?
- 顕微鏡で細胞をみて、悪性細胞の有無を調べます。
- 悪性が疑われたときは、レントゲン、CT、MRIなどの画像診断を含む精密検査で総合的に診断され、さらに病理組織検査で確定診断されます。
遺伝子検査
近年、細菌・ウイルスの遺伝子を検出する検査が行われています。遺伝子検査では、迅速かつより感度の高い検出、同定が可能となり、早期診断・治療に有用な検査となっています。